消費者金融業界について

よくTVCMや交通広告等で消費者金融の広告を見かけますね。

でも消費者金融ってよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

このページでは、その消費者金融業界の動向についてご紹介します。

消費者金融の動向

「消費者金融」と聞くと過度な取り立てやサラ金・闇金など、マイナスな事柄が思い浮かぶ方も多いかと思います。

実際、過去には、消費者金融が法律の抜け穴をついた方法で違法な高金利での貸付を行なっていた時代もありました。

さらに、一部の業者は、非常に悪質・暴力的な取り立てを行なっていたこともありました。

 

しかし、新しい法律の整備や過払い金請求の問題発生により、消費者金融業界は一度衰退しました。

日本貸金業協会が発行している報告書によると、平成14年から27年にかけて、その登録社数は27,551社から1,926社と、この13年の間に実に14分の1にまで減少しています。

貸付金額の残高については、同期間でマイナス約80%と、こちらについても大幅に減少しています。

多くの中小消費者金融が淘汰されていく中、生き残った大手消費者金融は、社会的イメージの良い銀行と提携する等の行動に移り、様々な試行錯誤を重ねながら再興の道を辿ってきました。

消費者金融業界は、どういった理由で衰退してしまったのか。

また、消費者金融業者に勤める人達は、普段どのような仕事をしているのか。

そして、その業界は将来どのようになっていくと予想されるのか。

これらのことについて解説していきたいと思います。

業界衰退の理由

消費者金融業界の衰退の理由は、大きく2つに分けられます。

それが、「過払い金請求」「法規制の変化」です。

過払い金請求

最近、過払い金についての広告(法律事務所等)を見る機会が結構多いと思います。

そもそも「過払い金」とは、借金をした際に、「本来支払わなければいけない金額以上に支払ったお金」のことを言います。

借りたお金はしっかり返済しなければなりませんが、この場合の支払い過ぎたお金をというのは、支払い過ぎた金利、つまり利息のことを指します。

支払い過ぎたお金が返ってくることは債務者にとって嬉しいことですし、債務者には当然それを請求する権利があります。

しかし、過払い金請求関連の事案は、弁護士にとってはかなり儲かりやすい部類のビジネスだったので、弁護士側が主題となって動いていたという背景もあります。

過払い金請求の対応に追われ、資金繰りに窮した貸金業者が倒産していったことにより、消費者金融業界も衰退していったのです。

法規制の変化

次の理由として挙げられるのが、「法規制の変化」です。

端的にいうと、それまでの法律が規制されたことで、多くの貸金業者が経営難に陥り、倒産へと追い込まれました。

ここで新たに規制された事柄は大きく2つあり、それは「グレーゾーン金利の明確化」「総量規制の導入」です。

グレーゾーン金利とは、利息制限法で定められている上限金利を超えてはいるものの、出資法で定められている上限金利には満たない金利のことをいいます。

当時、利息制限法における上限金利は20.0%、出資法における上限金利は29.2%と定められていたのですが、利息制限法の上限金利を超えたことによる罰則規定は存在しませんでした。

そのため、これら2つの間の金利を貸付に適用している業者が大半でした。

この間の金利を「グレーゾーン金利」といいます。

2つ目は「総量規制の導入」です。総量規制とは、「個人の年収の3分の1を超える貸付は不可」という法律のことです。

例えば、個人の年収が600万円だった場合、その人が借りられるお金の金額は合計200万円までということとなります。

この背景には、返済不能状態に陥る多重債務者の増加が深刻な社会問題になったということがあります。

この法律が導入されてから、そのような多重債務者は年々減少していますが、その一方で、債務者の年収を無視し、法外な高金利で多額融資を行なっていた業者は瞬く間に業績が悪化、そして廃業に追い込まれていきました。

消費者金融社員の業務について

では、消費者金融に勤める社員の方々は、日々どのような業務をおこなっているのでしょうか?

代表的な業務は、当然、個人に対する融資と、返済の支援です。

細かく分けると、「営業」「回収」「ATM現金チェック」であり、銀行等の業務と少し似通っていると言えるでしょう。

消費者金融に限らずですが、金融業者は、融資したお金に利息を適用し、その合計額を回収することによって利益を得ています。

また、返済遅延が発生した場合は、電話での督促業務も行います。

さらに、広告出稿やティッシュ配り宣伝業務も通常業務に含まれます。

営業

ここでいう「営業」とは、顧客に対し、より多くのお金を借りてもらえるように働きかけることをいいます。

細かい内容としては、入金受付、カードローンの新規申込、限度額増額の手続き等があります。

リストから融資額の増額ができそうな顧客を選び出し、電話で増額の案内や別商品の案内をする電話営業もあります。

こういった営業業務を担当するのは主に女性です。

昼夜問わず送られてくる申請を確認したり、新規貸付や増額等の手続きを行います。

融資を断る場合の電話も必須となっています。

回収

貸付可能な金額が決まっている以上、回収業務も当然、非常に重要な仕事です。

ここでいう 「回収」とは、いわゆる取立業務のことを言います。

返済が遅れている顧客に対して電話や手紙で連絡をとり、支払いを督促するという内容です。

電話をかけられる回数上限や時間帯はルールによって定められているため、回収業務担当者は常に電話をしています。

又、コンプライアンスの関連で、本社による業務監査が行われる為、通話内容は録音されています。

過激な督促ができないようになっているということです。

ただ、滞納が悪質なものである場合には、回収業務そのものを専門業者に外注することもあるようです。

ATM現金チェック

返済・滞納が発生している顧客の中には、借金の整理を申し出る顧客が少なからずいます。

このような場合、消費者金融業者は、裁判所や弁護士と書面でのやりとりを行い、切手・印紙・手形等を使うときもあります。

その為、朝と夕方の1日2回、現金チェックが行われるのです。

地味な作業に聞こえますが、これも大切な仕事のうちのひとつです。

銀行と同じく、1円の違いも許されず、全ての計算が合うまで業務を終えることはできません。

ひと昔前は、駅近辺に消費者金融の店舗が点在していましたが、今ではATMや無人契約機が増えてきています。

その為、現在はオンライン取引がほとんどであり、この業務の重要性は増していると言えます。

消費者金融業界の将来について

日本貸金業協会の資料によると、登録貸金業者数は、2016年4月〜2017年12月の間で、120社減少しています。

減少率でいえば6.3%減ですが、その減少スピードは少し緩まっています。

こういった状況からは、過去の業界構造の変化を生き抜いた業者は現状維持している可能性が高いということが読み取れます。

実際、登録貸金業者数は、2017年10月〜11月の間にわずかに増えています。

この中には、消費者金融だけではなく、リース業者、クラウドファンディング等も含まれていますので、消費者金融だけが持ち直しているとは一口には言えません。

ただ、消費者金融の数としては、底の時期を抜け出したと言えるのではないか、と捉えることができます。

今後、消費者金融の数が急増する可能性は極めて低いですが、一方で、現時点で生き残っている業者が今後しばらく生きながらえる可能性が高いと言えるでしょう。

 

いかがでしたでしょうか?

普段生活している中では中々触れることのできない消費者金融業界について、様々な情報を紹介しました。

この記事から、少しでも消費者金融業界に対して親しみを覚えていただけたなら幸いです。

お金を借りることは決して恥ずかしいことではありません。

消費者金融は、私達の生活を助けてくれる貴重な存在です。

困った時には、賢く利用しましょう!

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